沢木耕太郎の「深夜特急」で語られる、マラッカの夕陽。残念ながら、水平線近くには雲があってよく見えないが、夕陽を見ていると、この町で住んでいる家族の団らんも感じる。ホテルに帰る道すがら、小さな店の前で声をかけられた。ドリアンを食べないかと・・こんな出会いも旅ならではのものである。
沢木耕太郎の「深夜特急」で語られる、マラッカの夕陽。
残念ながら、30年もの月日が経つと、海岸線も変わり、埋立地が沖に伸びている。
少し車で移動すると、いい場所があると聞いたが、それほど酔狂な人間でもない。
しかし、せっかくマラッカに来ているのだから、海に沈む夕日を見てみたかった。
カミさんの提案で、展望タワーの上からだったら見えるのではないかと、
落陽の時間にタワーに乗ってみた。
タワーが上に登るにつれ、遠くが見えてくるようになる。
残念ながら、水平線近くには雲がある。
しかし、陽が傾くにつれ、夕焼けとなっていく。
旅しているときの夕陽は心にしみる。
カラスの歌ではないが、望郷の念が強くなる。
旅は楽しいが、帰るところがあるから旅であり、終わりは必ず訪れる。
夕陽を見ていると、この町で住んでいる家族の団らんも感じる。
この後、みんな家族とともに楽しい晩ごはんの時を過ごす。
いろいろなところに家があり、家族がある。
そんな思いを強くするのが夕陽である。
マラッカの町並みを見ながら、わずかな時間であったが、マラッカの思い出に浸った。
さあ、帰ろう。
ホテルに帰る道すがら、小さな店の前で声をかけられた。
ドリアン食べませんかと。
しかし、そこにはドリアンの姿がない。
話を聞くと、シュークリームの中にドリアンを入れているという。
これだと、臭くもないしいいアイデアである。
一個頂いて食べると美味しい。
しかし、シュークリームの皮が割れた途端、例の匂いが・・・
女主人だけでなく、娘さんも私の顔を楽しんでいた。
マレーシア最後の夜にいい笑顔に出会えた。
この町はまた来るだろう。
年とると、段々夕陽がつらくなりますネ。