カナダ人の友人がいる。
今は少し離れたところに引っ越したが、それまでは歩いて行けるところに住んでいた。
彼は、面倒見のいい人で、留学生などを集めて、よくパーティを開いている。
何回は私もお邪魔したことがあるのだが、ある時、もうすぐ母国のオランダに帰るという留学生と話す機会があった。
彼が言うには、日本に来る前は、いろいろ日本に期待を持ってやってきたが、残念だという。
せっかく日本に来たのに、日本らしいところに出会えなかったという。
ちょうど翌日、田舎に帰る予定だったので、誘ってみた。
田舎は、愛媛県の南予と呼ばれる場所で、愛媛県自体が田舎なのですが、
南予はさらに田舎で、その田舎の中でも、さらにさらに田舎に家がある。
初めて行った人は、この道の先に人が住んでいるのだろうかと思える道を進んでいく。
当然、車が離合するときは、広くなったところを使わないと離合できない道である。
彼も酔った勢いで、誘いに乗ってきた。
そして、その田舎にたどり着いたのだが、彼の興奮状態は異常であった。
しきりに町並み?村並みの写真を撮る。
こんなところが面白いのかと思うところで立ち止まる。
年寄りは英語が話せるわけではないが、何となく会話が通じている。
料理は田舎料理で、魚や野菜中心のもので、肉などまったくない。
家は古く、風呂は外風呂である。
しいて、文明的なところと言うと、水洗トイレであることだ。
さて、彼はどれだけ食べれるか興味津々だったが、食べれないものはなかった。
寝るときは当然布団で、薄暗い二階で休んでもらった。
気持ち的には、日本にやってきたばかりの小泉八雲ことラフカディオハーンであったと思う。
彼が感激したのは、いいように言えば古民家に感激しただけだけでなく、
山が海に迫った風景にも興奮状態であった。
切り立った崖沿いに進む道路と、道路にうつける波。
オランダでは考えられない風景だとしきりに言っていた。
日本は悲しいかな、西洋化してしまった国である。
日本らしいところと言えば、神社仏閣ぐらいしか思い浮かばない。
戦後、焼け野原になった街は、復興の際、近代的なビルが建てられていった。
同じ、戦争で焼け野原になったドイツは、戦前と同じ街並みに復興させた。
街を歩くと、数百年前の建物のように見えるが、多くは戦後建てられたものが多い。
自宅と言えども、法律で規制され、昔の町並みにあうように建てられている。
そのおかげで、町全体をみると調和がとれている。
隣の国韓国も、景観保存に熱心な国である。
首都ソウルであっても、昔の建物が残っている地区がある。
町並みだけでなく、伝統文化の保存に熱心である。
5月にソウルで行われるパレードなどは、市民全体で盛り上げるイベントとして定着している。
留学生を田舎に連れて行った一週間後、
田舎にまた行く用事があった。
帰り道、雨の中を行くサイクリストがいた。
追い越し際、サイクリストを見ると、彼だった。
後から、カナダ人の友人に聞くに、いたって南予が気に入ったようで、
帰国前、車で片道二時間の道のりを自転車で行ったという。
日本も、便利さを求める近代的なものに進むのではなく、
少し立ち止まって、日本の文化を復興させ、日本の誇りを取り戻す時期に来ているように思える。
昨日より風邪をこじらせて、熱があります。
朦朧とした頭のため、誤字脱字ご容赦ください。
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