ピピ島には片道1000円ほどでフェリーで行ける
昼食とシュノーケリング、ホテル送迎がついて3000円以下のツアーが見つかったので、それを使ってみた。
朝、7時にホテルに迎えに来てくれて、その後、数か所のホテルを回った後、一時間ちょっとで港に着いた。
港というより、渡しの艀といったほうがいい港です。
いろいろなコースがあるようで、そのコースに合わせて、シールをぺったんとシャツに貼り付けていく。
そのシールが乗る船を決めたり、食事会場への入場券代わりとなる。
フェリーと言っても、200人乗りくらいの二階立ての船。
船内は、船酔いしやすいカミさんのことを考えて、
デッキにあった椅子を確保する。
どぶ川っぽい港を出航すると、徐々に海がきれいになっていく。
それに合わせて、波も大きくなる。
船は右へ左へと傾くが、船の穂先では、波しぶきを楽しむ客がいるくらいなので、それほどではない。
しかし、徐々に揺れが大きくなるにつれ、乗っている人の表情がなくなっていく。
ひとり、また、ひとりとゲロ袋をもつ客が増えていく。中には、大きなゴミ箱に直接吐く人もいる。
こんな時は、いろいろ国民性が出るので興味深い。
ダイビングや船釣りをやっているので、これくらいは私は大丈夫だが、めったに船に乗らない人は修行の時間が続く。
一時間ほどすると、ピピ島の姿が見える。
ピピ島は正確にはピピ諸島。いろいろの島の集まりである。
その一つの島、ピピ・レー島の風裏にあたるモンキービーチがシュノーケルポイントであった。
初めて、シュノーケルをする人も多いようで、ばちゃばちゃとにぎやかなシュノーケルであった。
よく使われる場所のため、ほとんどのサンゴは死滅しており、餌付けされている熱帯魚が異様に多い。
透明度は雨季ということで、5メータ-くらいしかない。
残念ながらこの時期であれば、圧倒的に沖縄の海の勝ちである。
シュノーケルが終わると、
ピピの中で一番賑やかなピピ・ドン島に上陸である。
港には客を迎えるホテルスタッフがリヤカーの横で待っている。
この島の唯一の交通機関かもしれない。
道は狭く、移動はロングボートが使われている。
浜辺が、いわゆる駐車場というわけである。
港に着くと、入島料60円ほどを払い、昼食会場へ向かう。
船を降りるのが一番最後になったが、胸に張ったシールのおかげで案内をしてもらえる。
食事は現地ツアーでよく見かけるブュッフェスタイル。
某大陸国が大量に残飯を残している中、料理を取っていくが、もうすでになくなっているものもある。
フライドチキンにいたっては、スタッフが限定二個として配っている。
たしかに、好きに取らせているととんでもないことになる。
ここのグリーンカレーはうまかった。
食事の後、しばらく自由行動となったが、カメラの調子がおかしくなり、設定をいじくっているうちに時間が過ぎてしまった。
X100はどうもきびしい直射日光が苦手なようである。
過保護のカメラである。
しばらくすると激しいスコールがやってきた。
これが地獄の旅への幕開けとなった。
雨が小降りになるのを見計らって、ビニール袋にいれたカメラを握りしめ、船にダッシュ。
帰りも、二階のデッキの椅子を確保する。
後から乗ってきた某大陸の若い女性は大きな声でわめきちらしも、荷物で確保していた人の席を奪い取っていた。
この時、彼女は勝利の気分になっていたが、数十分後その席が仇となる。
船が湾から出て、一気に海の表情が変わった。
私もびびった。
台風の時の海である。
かつて、波浪警報が出ているときに、沖縄本島から座間味に渡ったことがあるが、その時と同じ海の色である。
黒く沈んだ海に無数の筋状の白い波。
すぐさま、甲板を波が洗った。
私も波を頭からかぶった。
デッキに座っていた人たちはデッキの上を滑っていく。
ちょうど私たちの前にポールが立っていたので、幸いにも滑ることはなかったが、船員がデッキにあった椅子をかたずける。
デッキにある店も商品が倒れ、危ないものは船内にかたずけられる。
しかし、この状態になっても楽しむ輩もいる。
どれだけ波に耐えられるか勝負をする白人たち。
日本だと、全員船内に退避となるところだが、ここはタイ。
私も船内に避難しようと思ったが、こういう輩がいる間は私もデッキで頑張ってみることとする。
船内はどのようになっているか想像たやすい。
行きのあまり波がない状態であの始末である。
昼食がどんどんゲロになっていく。
生まれてこの方、これだけ大量のゲロを見たことはない。
カミさんは吐き気より恐怖心のほうが上回っているようで、はかない。
実際転覆した場合、デッキにいるほうが生存率が高い。
デッキの後方にはシュノーケルで使ったセーフジャケットが大量に積まれている。
行きと違って、正面から波を越えていくので、時々スクリューの空回り音が聞こえる。
これって、ほんとにやばいんでないかとおもったが、カミさんの周りのひきつった乗客の顔を見ていると笑いが出てくる。
一時間以上波と格闘のあと、港に着いた。
あの某大陸のうるさい人も静かである。
おかげで、帰りの送迎の車の中は静かであった。